2017.7
 他に類を見ない、劇場のような空間で観客を魅了するシンガーソングライター深居優治。初のミュージックビデオを担当しました。
自身の体重よりも重たく、ソロアーティストでは考えられない数の音響機器を駆使し、広島を拠点としながら全国を飛び回る彼の音楽は、観客の心を掴んだら離さない圧倒的な表現力があります。そのため、ライブを体感したファンのイメージを崩さないような映像には出会えず、長い活動期間のなか、MV作品を制作することに前向きではなかった。そこに任された私。なんと重大な任務なのだと腕がなりました。

ライブハウスという劇場空間でたったひとりから響き叫ばれる歌声には圧倒的な情念がありました。CDに刻まれた楽曲にも、会場とは違う形で、聴き手の内側を刺激し湧き上がる熱情がありました。
映像もそのように、「映像」と「音楽」が作用しあって湧き上がる、偶発性の高い未知数なエネルギーを狙いました。

物語のコンセプトは「ひとりの恵みは世界の恵みに比べればちっぽけなものだが、無駄ではない、はず」
これは「深居優治」の劇場から着想を得たものです。彼の叫びが届く範囲は非常に狭いのかもしれない。世界に溢れる叫びに比べたらちっぽけなものかもしれないが、確かに観客の胸には響き、その人生ひとつひとつの糧になっていることを想いながら制作しました。
歌詞や彼自身の物語をそのまま表現することは避け、歌詞の「耳に聴こえる部分」と映像の表情を少しリンクさせることで、映像と音楽がくっついて、離れて、その隙間にエネルギーが発生するよう緻密に設計しました。
一枚の絵にどれだけ時間がかかったかちゃんと計ればよかったね、って今になって思います。
「細密画風なアニメーションって面白いかも」と思い立って、営業して、描き始めて最初の数枚くらいで後悔したのを覚えています。でもやり切りました。楽しかったです。
この作品以降、実写映像にハマるようになりました。理由は特にありません。本当です。

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